英国の水彩画を理解するための良書。英国の水彩画が完成された19世紀前半の画家までが網羅されており、読み応えがあります。口絵には有名なコットマンや、ターナー、コックス、ガーティン、コンスタブル、ボニントンらのカラー図版が添えられています。

私自身としては、コットマンの初期傑作「チャーク水道橋」があったのが凄く嬉しかったです。著者には悪いですが、この水彩画一枚でもこの本の価値はあります。時が止まったかのように感じられる、そのような感動を覚える絵です。「グレタ橋」と並ぶ作品で、ブリヂストン美術館が浅井忠先生の「グレーの古橋」を大切にするように、決して英国はこの2作品を手放さないでしょう。(「グレタ橋」については下のタグ「英国」を参照)

同じ著者により後年出版された本も紹介しておきます。表紙の絵は大下藤次郎「やなぎ (十和田湖畔)」

2003年 彩流社 190ページ