アンドリュー・ワイエスは日本人にも大変親しまれている画家です。中学校の美術の本にも『アルバロとクリスティーナの家』が掲載されています。

ワイエスの写実は単にそっくりに描かれているというものではなく、深い対象物への愛情のようなものを感じます。多くの水彩画や素描、テンペラによる作品が収録されております。お父さんのN.C. ワイエスは有名な挿絵作家でしたが、列車事故で他界されました。しかし、その才能は息子ワイエスにも受け継がれ、20歳の時の初個展は完売だったそうです。70年代に日本でワイエスの展覧会が開催されたとき、その本の中のインタビュー記事を通してワイエスという画家に触れられたと思います。「私の作品は色彩的にハイ・キーではないし、心楽しくもないし、ルノワール風、フランス風でもありません。今日、多くの人々が求めているのはそういう、いわば視覚的なカクテルなのでしょうが―…」
上の2冊の大型本はいずれも洋書で海外から取り寄せたものです。左の「WYETH AT KUERNERS」邦訳は「カーナー農場」には多くの水彩画が収録されており、中には画用紙にシミや手の跡のようなものがあったり、画家の苦闘のあとが垣間見られ感動しました。右は有名な「クリスティーナの世界」ですね。後ろ姿は若い女性のように見えますが、本の中には実際のクリスティーナの写真があり(失礼ながら)年を経た方でした。
これら2冊はボストンのホートン・ミフリン社によって発行されました。実はこれらに先立ちワイエスの初の画集としてはさらに大判のものが1968年にホートン・ミフリン社から発売されています。(下の画像を参照)これは文字通り小さなテーブルサイズとも呼ばれるもので、開くとそこはワイエスの個展会場に足を踏み入れたのではないかと錯覚を覚えるほどのものでした。(邦訳はなし)
上の2冊は80年代に邦訳がリブロポート社から出版されましたが、残念ながら現在この出版社はありません。

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