30号の水彩画作品ですが、この大きさクラスの作品になると初めの段階で画面全体に刷毛で大きく基調となる色をかけることをおすすめします。この制作過程はいわば私の反省例として捉えていただけたらと思います。

もともと描写が好きな私は、水彩作品においても長年 描き ⇒ 塗り というパターンに固執しておりました。しかし、これだと特に大作になるといつの段階でも完成イメージが掴めず袋小路に迷い込んだような心境でした。

むしろ画面全体に一気に基調となる色を置くと(塗り)、大きな方向性が定まり、その後の制作(描き)が楽になります。さらに終盤に進むにつれ、完成イメージが明白となります。そのようなことを念頭に今回の記事を読んでいただけたらと思います。

下描きが終了したところ
背景に壁の色に近い色を薄く塗ります。またおもちゃの台の下の空間に暗い色を置きます。
ブリキ玩具、脱穀機の下部分を塗ります。
小さなオートバイ、おサルの電車が完成。
脱穀機を塗ります。キズなどもマスキングで入れます。
バックの色を濃くし、影なども入れます。安定感を出す為、床との境に板の横張り(もともと存在)を入れます。
アクセントになる脱穀機の中心部の「愛」という文字を塗ります。
ブリキの機関車を描きこんで完成。

常に制作のどの段階でも”日曜大工”のように、ここを濃くしたから、こっちは少し濃くあるいは薄く…などと押したり、引いたりの道程でした。これは制作上あまり好ましいことではありません。大作は特に 塗り ⇒ 描き をモットーに進められると良いと思います。そうすれば大きな方向が定まりますので、制作に迷いがありません。あなたの「描き」もさらに生きてきますよ。